使用するカニのサイズをはっきり表記しない方針の店舗もありますが、あらやでは、プランごとに使用する越前ガニのサイズをお客様にお知らせしています。
● 特特大サイズ ……… 越前ガニ1パイ 1kg超~1.2kgの重さ「皇室献上クラス」
● 特大サイズ ………… 越前ガニ1パイ 0.9kg~1kgの重さ
● 大サイズ …………… 越前ガニ1パイ 0.8kg~0.9kgの重さ
(参考) 皇室献上は三国港で行います。あらやは越前港の越前ガニを扱いますので、「皇室献上クラス」という表現を用いています。
◆越前ガニへのこだわり『越前ガニは見た目より重さ』
越前ガニは見た目の大きさよりも、重さで判断します。
見た目が大きく軽い越前ガニより、小さくても重い越前ガニを選びます。
小さくてもずっしり重い越前ガニの方が、身が詰まり肥えているので美味しいのです。
越前ガニは『色白美人』より、マッチョな『強面プロレスラー』がおすすめですよ。
あらやでは、ゆでる前の越前ガニをお客様にお見せします。お見せしてからゆでるので、お待たせしますが、ゆでたての越前ガニを食べられます。「かにしゃぶ」がメインのときは、お見せしてから「かにしゃぶ」に調理します。
◆越前ガニへのこだわり『どうして越前ガニを見せるのか?』
どうして越前ガニを見せるのか?
越前ガニはとても仕入れ値が高いのです。
儲けようと思えば、セリ値が安いときに一度に買い込んで、冷凍すれば良いのです。
楽しようと思えば、先にゆでて、ゆで置きして出せば良いのです。
『調理する前の越前ガニを見せる』ということは、
日ごろからカニを生かしておいて、
お客が席に着いてから、生簀からカニを出し、お見せして、それから調理すること。
冷凍するでなく、ゆで置きするでなく、その時その場の一期一会の仕事。
嫁さんと二人では正直、きつい。
お客が50人いたら、こんなのんびりしたことはできません。
あらやは一日4組のご昼食・ご宿泊。多くても10名様ほど。
みなさん、本場の越前ガニを食べに来ておられる方ばかり。
遠くから宿に来てくださる方に対して、楽な仕事をしてはいけませんよね。
あらやの「かにしゃぶ」は、活の越前ガニを丸ごと1杯使います。1杯丸ごと使うので、かにみそが入った「かにみそしゃぶ」になります。最後の雑炊が楽しみですね。
◆越前ガニへのこだわり『カニ鍋より、やっぱり”かにしゃぶ”』
私は「かにしゃぶ」をおすすめしています。
越前ガニをゆでるとき、ゆで汁にカニの味が出ます。
「このゆで汁、鍋だしに良さそう」などと考えてしまいます。
カニ鍋は、カニ足と具材を一緒に煮込むので、カニの味は出ますが、
煮込むなら冷凍のカニ足で充分、と思います。
「かにしゃぶ」は冷凍というわけにはいきません。
かにみそを入れるなら、なおさらです。
あらやでは、刺身に使う「活の越前ガニ」をかにしゃぶに使います。
カニ足を一本ずつ、好きなときに、好きな火加減で
鍋にくぐらせ、味わっていただく。
最後は、かにみその残る出汁で〆の雑炊。地元らしい食べ方だと思います。
ご宿泊の越前ガニのご夕食は、テーブル席の個室をご用意します。他の方に邪魔されずに、ごゆっくりお召し上がりください。
◆越前ガニへのこだわり『越前ガニは自分へのごほうび』
宿の常連さんが、よく言われます。
『越前ガニは一生懸命、仕事した自分へのご褒美。』
一年間がんばった自分へのご褒美に、
あらやに来てくださっている。
福井への観光旅行で来るお客さんも多いですが、
毎年の常連さんにはこういう方が多いんです。
私はこういうお客さんが来て下さることがとてもうれしいのです。
せっかく、来てくださるわけですから、
満員で、ぎしぎしと他の方と肩を並べるのではなく
余裕のある個室でゆっくりと召し上がっていただきたいな、と思っております。
あらやでは、港で生きている越前ガニだけを仕入れて、店先の生簀に運びこみます。お客様がご来店の際には、越前ガニを生簀から取り出して調理します。
上は、越前港での越前ガニの競りの様子を撮影した写真です。右側で越前ガニの品定めをしているのが私(あらや主人)です。
◆越前ガニへのこだわり『質の良い越前ガニは少ない』
「越前ガニは毎日水揚げがある」
「店に行けばその日に水揚げされた越前ガニを食べられる」
と思われている方がいらっしゃいます。これは間違いになりまして、
冬の日本海は強烈な北からの寒波と荒波です。しょっちゅう海が荒れるので、
毎日のように、越前ガニの水揚げがあるわけではないのです。
しかも、水揚げしたすべてのカニの質が良いわけではありません。
むしろ、質の良いカニの方が少ないのが本当のところです。
では、ある程度のレベルの越前ガニを、
常にお客さんにお出しするにはどうすればよいのか?
いかに良質の越前ガニを探して集めておけるか、が大切なのです。
それには、腕の良い仲買い人と協力するしかありません。
腕の良い仲買いは、顧客が集めているカニのレベルを理解し、
先の水揚げを予測して動くことができます。
宿にとって仲買いは縁の下の力持ち。
私が商売できるのは、仲買のおかげだと思っています。
越前ガニの良し悪しは手に持ったときの感触で判断します。
◆越前ガニへのこだわり『見た目に惑わされてはいけない』
甲羅に「黒いブツブツ」があるカニが良いって言いますよね。
「黒いブツブツ」は海藻ではなく、「カニヒル(カニビル)の卵」です。
カニヒルは日本海の海底にたくさん生息していまして、
カニの甲羅に吸盤でくっついて、卵を植え付けます。
確かに、大きい越前ガニにはびっしりとくっついていて、
脱皮してからの成長の度合いがわかります。
ですが、見た目で良し悪しを判断するのは怖いのです。
痩せているカニもあれば、肥えているカニもいます。
私は手に持った感触で良し悪しを判断したい。
その感触を磨きたい、といつも思っています。
水揚げ直後の越前ガニは口に泥を噛んでいます。越前ガニを水槽で寝かせて、泥を吐かせます。
◆越前ガニへのこだわり『越前ガニは深海の生き物』
上の写真で分かるように、越前ガニは甲羅や足が茶色い色をしています。
カニの裏側にあたる地面にあたる部分は白い色をしています。
これは越前ガニが日本海の深海の生きものだからです。
普段、カニは海底の泥に身体をしずめたり、泥から出て歩いたりしています。
そのため、身体の色が泥に近い保護色になっています。
保護色の部分が、ゆでると鮮やかな紅色になるわけです。
このように海底の泥の中での生活なので
水揚げしてすぐの越前ガニは、オスもメスも口に泥を噛んでいます。
そのまま調理して食べると、人の口に泥や砂が入る恐れがあるので、
水槽で真っ暗の状態にして寝かせ、泥を吐かせてから調理しています。
越前ガニは前日に生きていても、翌朝、水槽の底で動かなくなっていることも珍しくありません。弱いのです。一日に何度かカニを動かして、元気かどうか確認することにしています。
◆越前ガニへのこだわり『越前ガニを生かすことは難しい』
カニを扱う上で泣かされることが多々あります。
「越前ガニを長期間、水槽で生かすことが難しい」ことです。
越前ガニは水深300mほどの深さにいる深海の生物です。
これを深海から引き揚げて、地上の環境の中で育てるのは難しいですね。
まして、店舗のお粗末な水槽で越前ガニが長生きする筈が無いのです。
水槽で長く生かすことが出来ないという事は、仕込んだ先からお客様に調理して
提供しなければならないということです。
たとえ水槽で長く生きてもエサを食べないので、どんどん痩せます。
痩せると、味が落ちます。スカスカになります。調理する私は、いやですね。
なので、私は一週間程度で使い切る数を見込んで仕込むことにしています。
仕込んでは、一日に何度かカニを動かして、状態をみる日々を送っています。
越前ガニとは、福井県内で水揚げされた雄のズワイガニにつけられた地方名です。雌ガニはセイコガニと呼ばれています。越前ガニは、その美味しさゆえに皇室へも献上されています。福井県では、献上ガニは冬の風物詩の1つです。越前ガニの解禁日は毎年11月6日の午前0時。カニ漁が行える期間は翌年の3月20日まで。冬だけの貴重な美味しさなのです。(参考) 皇室献上は三国港で行います。あらやは越前港の越前ガニを扱いますので、「皇室献上クラス」という表現を用いています。セイコガニ(雌ガニ)には産地証明タグが付きません。
越前ガニには、写真の黄色の産地証明タグが付いています。産地証明タグには『越前港』『三国港』など水揚げ港が記されており、県ごとにタグの色が異なります。黄色のタグは越前ガニの証であり、王者の証なのです。 ※ セイコガニ(雌ガニ)には産地証明タグが付きません。
あらやでお召し上がりいただく越前ガニは越前港で水揚げされたもの。黄色のタグと越前町漁業協同組合からの認定証がその証です。
福井県では2015年11月6日から、重さ1.3kg以上、甲羅の幅14.5cm以上、爪の幅3cm以上の越前ガニを新ブランド「極(きわみ)」として売り出していくことになりました。「極」は特に越前港で厳しく行われており、漁業者・仲買人双方の合意がなければ選定されません。「極」は素晴らしい越前ガニですが、何度かお客様にご提供した経験をもとにお話しますと、水揚げされる数が少なく、セリ値が10万円を超える場合もあること、あらやで多くいらっしゃるご夫婦のお客様がお二人で食べるにはサイズが大きすぎて、高価な割に食べきれず、金額に見合うだけの満足を与えることができないこと、などからお客様に確実に美味しい越前ガニをお届けするために、あらやでは「極」の取扱いを控えさせていただいております。