生簀から生きた越前ガニを上げて「かに刺身」にしています。あらやは三か所に最低1トンの水量が入る生簀(水槽)を保有して越前ガニを生かしておくようにしています。水槽を稼働させて、常に越前ガニが新鮮な状態で保持できるよう努力しています。これが良い刺身をお出しすることにつながります。
活の越前ガニを捌いて「かに刺身」にしているところです。生きたカニを捌くと、足の身がピクピクと動きます。古い、時間の経ったカニは濁った色をしていますが、活の越前ガニは透き通った、とてもきれいな身をしています。
越前ガニの刺身は氷水に落として仕上げます。氷水に落とすと、カニ足がぱあっと開いて華が咲いたようになります。大きく華を咲かすところもあるようですが、長く氷水に漬けておくと水っぽくなってしまうため、私は越前ガニの刺身は華を咲かせすぎないよう注意しています。
お客様のなかには「越前ガニの刺身は、足の筋を噛んで、すーっと引けば外れる」ものと考えておられる方がいらっしゃいます。これは、カニの刺身を先に作り置きして時間が経つとこういった感触になります。カニを水槽から上げてすぐに調理した、新鮮なカニの刺身であれば、身に弾力が残っているので、足の筋を噛んで引っ張ってもすぐに外れません。新鮮な刺身はカニ身の弾力が違います。鮮度が高いカニの刺身ほど歯ごたえがある=身に弾力が残っているカニの刺身を召し上がっていただきたいと思います。